女将の日記

ブラジャーとチカちゃん

夏が来れば思い出す〜 ♬”

 

 

というフレーズのように チャリダーが来るたびに

秋が来るたびに思い出すゲストがいる。

 

 

チカちゃん(仮名)。

 

20代前半だったと思う。

 

実に、もう記憶が曖昧だ。

 

 

姫路でゲストハウスをオープンして

1年目の頃だったと思う。

 

 

姫路は大阪からは100km, 岡山までは80kmぐらいと

大阪から西に向かうチャリダーにとっての中継地点になるポイントで

結構な割合でチャリダーが立ち寄ってくれていた。

 

 

季節は秋。ちょうど灘のけんか祭りという、秋祭りが盛んな

播州地方でも有名なお祭りがある前日にチカちゃんはやってきた。

 

まるで「ハワイに行こう!キャンペーン」のCMに出て来るような

健康的に日に焼けて 真っ白な歯に大きな口を開けて笑う彼女は 

秋だというのにデニムのホットパンツを履き

 

 

ボロボロの、いや、なんなら 

ゴミ捨て場で拾ったかのような

レベルのママチャリでやってきた。

 

 

いつもゲストハウスで迎えるカッコ良いロードバイクに乗った

チャリダーとの落差にもびっくりしていたのだけれど

 

 

彼女が東京からオッチラオッチラ漕いできたことが

驚きだった。(ギコギコゆってるのに!)

 

 

「あー!やっとついた。ちょっとシャワー借ります!」

とチェックイン早々、シャワーをして

 

「洗濯機借りていいですかー?ちょっと服も洗いたくてー!」

 

と200円を払って洗濯物を回した。

 

 

やっと落ち着いてソファに座った彼女が

質問をしてきた。

 

 

「ねねやんさん、

 

繁華街ってどこにありますか?」

 

 

….ん???繁華街?

 

 

 

「そう。繁華街。」

 

 

 

いつも想定質問に慣れていた私はちょっとうろたえた。

 

「姫路の美味しいものってなんですか?」

「美味しいお店教えてください」

「一番近いコンビニどこですか?」

 

9割の人に聞かれることはこの3つなんだけど

 

繁華街・・・

 

 

「えっと、大手前通りを渡ったら魚町っていう

繁華街があるよー。美味しいお店もたくさんあるよ!

ただ、キャッチに引っかかるかもしれんから

オススメのお店を地図にマークしておこうかー?」

 

とお節介心で地図を取り出したら

 

「ん?ねねヤンさん?私、今からキャバクラに

行くんですよ。」

 

と言われる。

 

豆鉄砲を食らったかのような私の顔にさらに

チカちゃんは続けた。

 

「私ね、この旅行なんですけどね、キャバクラに体験入店して

1日1万稼ぎながら、旅してるんっすよ!」

 

!!!!!!!!!!!!!!!

 

まさかのニュータイプ!

 

ど?どういうこと????

 

「だからー、こういうちょっと繁華街があるようなー

まあ、キャバクラとかラウンジとかあるような?そういうところを

狙って、旅してるんですよぉ。」

 

 

ちょっとちょっと!

そんな発想はなかったわ!

 

 

「と、いうことで、今から行ってきますね!

じゃあ、また!」

 

と、元気よくでたと思ったら

 

くるっと振り返って 3秒で帰ってきた。

 

「やっちまいました。

 私、唯一のブラジャーを、今、洗濯してしまいました。

 ・・・・いけません。体験入店」

 

と、がっくりするチカちゃん。

 

ちょっとちょっとちょっと!!!

 

うら若きレディーよ、

つけてるブラジャー1枚で

旅してんの???東京から????

 

と、もう大爆笑してしまった。

あれだな。自分の想像を軽く斜めに超えてくる人

愉快だなw

 

「だって、重いの、嫌ですもん」

 

 

確かに、日本一周のわりに軽装だとは思ったけれど。

着の身着のままとは。

 

「ということで暇になりました。何しようかな」

 

というので即座に提案したのが

灘のけんか祭り。

 

播州地方の秋の風物詩で、どの地域も

雄壮&豪華絢爛な屋台が かっこいい裸の氏子たちに

担がれてそりゃースンバラシイ祭りだらけなのだけど

その中でも全国的に有名なのが「灘のけんか祭り」。

 

屋台の練り合わせや、神輿をぶつけ合う様が

まるでけんかしているようで(本来の意味は別にありますが)

そう呼ばれているのですが

 

知名度に反して、地元の人のお祭りなので有料の観覧席のような

ものはなく、地元の人からのご招待がないとゆっくり観覧できる

場所すらないので、観光客は基本的に「立って」観覧するしかない

のだけど、その「たつ」場所も最近では人が多く危なかったり

立てるスペースも限られています。でも、でも・・・

 

こんな年に1度の 晴れやかな日に姫路に来てるんだから

これを見ないなんて、そんなバカな話はないでしょう!

 

と他のゲストとともに灘のけんか祭りに繰り出したのです。

その上、私が前年度に発見した「人に迷惑がかかりにくい

(けど自分の腰が痛い)立ちスポット」に連れいていき

鼻息荒く「ふふふ。ここが私の知っている、隠れ立ちスポットです!

ここならみんなで観覧できるよ」と、

見ていると20分もしない間にチカちゃんが

ふらっといなくなり、ふらっと帰って来た。

 

「ねねヤンさん、ここ、上がらせてくれるって」

 

と、全く見知らぬおじさんをナンパし

お客様が来るであろう席(桟敷)に通していただいた。

 

ギョギョギョ!

 

桟敷にご招待いただくってのは本当に光栄なことなの

ですが

 

「うわあああああ」となっている私を傍目に

チカちゃんとおっちゃんは密になっており

 

おっちゃん→チカちゃん→私たち、の順で

ビールやら、秋祭りのご馳走、カニやシャコが

まわっくる。

 

うわああああああ。

 

赤くよったおじさんがいう。

「あれだなー、チカちゃんは来年は

回しをして、担がないといけないなー!

わはははははー!」とウケない冗談を言うと

(*女はそもそも担げません)

 

チカちゃんは「じゃあ、その回しは

おじさんが つ・け・て・ね(ハート)」

 

と返したもんだから

 

おじさんは上機嫌になっちゃって

「おい、ビール、ビールくれい!」と

同じ桟敷にいる(きっと)奥様ズ

に言ったもんだから

 

もう女性陣の冷ややかな目と

 

その目に浮かび上がる “お前、ツレだろ、

どうにかしろよ”と言うメッセージが

怖くて怖くて

 

ああ、これが針のムシロってやつなんだなと

思いつつ、

 

人生初の緊張するけんか祭りを味わったのが思い出。

 

ちなみに、このあと「帰るよー」と一緒にゲストを引き連れて

帰ろうとしたら一人だけいなくなり

 

あらゆる桟敷を渡り歩き 飲み倒したらしい。

「すぐにお呼ばれがかかりまして、わたし、4つくらい

場所がえで飲みました」

 

つ、強い。欲しいぞ。その生命力。

 

秋が来れば思い出す。

 

ブラジャー1枚のチカちゃんの思い出でした。

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毎日たくさんのゲストとの思い出を劣化させたくなくて
とりわけ印象に残ったり面白い!すごい!へー!!!と
自分の世界を広げて来れた皆さんの話を
書き始めました。これは私が一生心に留めておきたい
エピソード集です笑
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姫路の安宿  Budget hostel for backpackers  Himeji588 guesthouse

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